お父ちゃんはタイ人

タイ人のお父ちゃんを持つ娘の日記。
我が家の日常、日・タイ文化比較、仕事(通訳・翻訳)のことなど。
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言葉を紡いでみよう
4月にタイ・ビルマ国境にあるメータオ・クリニックの取材をしました。
ここのクリニックでは貧しいビルマ人や避難民を無料で診察しています。
クリニックを始めたのは、シンシア・マウン女医。
17年前、マラリアや様々な病気に苦しむ同郷の友を助けたいとの気持ちから手探りの活動がはじめまりました。
地道な活動が認められ、欧米からいくつかの人権賞を受賞。
クリニックは海外からの援助を募りながら少しづつ規模を拡大しつつあります・・・。

以上の内容を友人に伝えたところ、
「シンシアさんはすごい!でも、私には無理」と一言言われて会話が終わりました。
折角感動を伝えたかったのに。。ブー。

感動が伝わらない理由を考えてみました。
今回も私の説明不足が原因に違いない。
シンシアさんやスタッフの「自己犠牲」と「奉仕精神」に感動した私ですが、
そういういわゆる「話の根っこ」をいきなりぶつけてもわかりにくいであろう。
物事には「枝葉」が必要なのではないか。
<枝葉+α>

クリニックの第一印象は、思ったより明るかったということ。
思ったより大きかった。スタッフがたくさんいた。子供たちはかわいかった。
ビルマ人のDr.Mと仲良くなりました。人懐こい彼女は私と同い年でした。
その後、Dr.Mを通して何人かのスタッフと知り合いになりました。
お互い母国語ではない英語で一生懸命冗談を言って楽しかった。

ある日、Dr.Mは沈んでいました。別のスタッフと喧嘩したらしい。
その日以来、彼女の顔から笑顔が消えました。
大勢の人が一緒に働いているので、人間関係のいざこざが出てくるのは当然かもしれません。特に、ここのスタッフの民族編成はビルマ族、カレン族、カチン族、シャン族・・・と多様。あるカレン族のドクターの旦那さんはカレン民族同盟で今もビルマ軍と戦っていて、いつ戻ってくるのかわからない。あるカチン族の医療スタッフはこのクリニックで働くため、泣いて引き止める家族を押し切って国を超えた。複雑な事情を持つ人たちが、「同じ目標」を持つからこそ共にいられる、そんなクリニックの現実に気づきました。

ある晩、25歳のスタッフに「あなたの人生の目標は?」と聞かれて、うまく答えることができませんでした。"My life is for poor people." と言い切った彼は、少なくとも現時点では言葉と行動が一致していて、いつも口先ばかりの私は恥ずかしくなりました。

バックパック医療団という人たちがいます。
クリニックを尋ねることができない患者さんたちのために、バックパックに薬を詰めて出張診療をします。数ヶ月にわたって道なき道を行く医療団の仕事は凄まじくハードですが、なぜか彼らに悲壮感はなく、ひょうひょうと仕事を続けるその姿に私の今までの価値観がゆらぎました。「やらされているからやる」のではなくて、「やるのが当たり前」という雰囲気でした。

これらのスタッフの先頭を切っているのがシンシア女医。
アウンサン・スーチーのような細くて弁の立つ女性をイメージしていましたが、
その反対でした。ふくよかで、声が小さい女性。
家を訪ねたら、手料理をごちそうしてくれました。
彼女の家では、15人くらいの養子と2人の実子と数名のスタッフが一緒に生活しています。養子も実子も区別なく育てているそうで、実際どの子が実の子なのかよくわかりませんでした。大家族と大きな責任を抱えた彼女ですが、ひとりで全てをこなしているわけではありません。忙しい時は近所の人たちが食事の準備や家事を手伝ってくれるそうです。
「人に与えれば自分に帰ってくる」という言葉を思い出しました。
私が訪ねた時はちょうどソンクランのお祭り気分が覚めやらぬ頃で、ほろ酔いムードの旦那さん(彼も医療スタッフ)は微笑むシンシアさんに膝枕されながら、末っ子のX君が食べさせてくれる果物を幸せそうに食べていました。

メータオ・クリニックでは知れば知るほど悲惨な実情が横たわっています。複雑な政治の問題、医療技術、資金の問題・・・何から手をつけたら良いかわからないような状況で、それでもささやかな喜びを見つけようとする人間の本質は私たちと変わらないと感じました。だからこそ彼らを身近にいとおしく感じるのかもしれません。他生の縁で出会ってしまった彼らを守るために最後にコメントするならば、シンシア女医もクリニックのスタッフも完璧な人格者ではないということ。「普通の人」が、自分の限界を感じながら努力しているその姿が尊いと感じました。
| 仕事のこと | 15:40 | comments(9) | trackbacks(2) |
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最後の、

「普通の人」が、自分の限界を感じながら努力しているその姿が尊いと感じました。

この言葉大好きです。

また世界を見にいきたいと思いました。
私の夢は、55を過ぎたときにシニア海外ボランティアに参加することです。
それまで体力維持せねば!
| Reisemama | 2006/05/30 5:23 PM |

すごいなぁ〜〜。
こんなに表現できるなんて、さすが言葉を商売にしてるmarisaさんだ!と思いました。

私もRaisemamaさんと一緒で最後の一文にグッと来た。
ここがすごいなぁ〜、そうなのかぁ〜〜、と思いました。

かっこいいなぁ〜〜。

| かぐや | 2006/05/30 6:55 PM |

番組、拝見しました。大勢の患者が詰めかける光景を見て、娘が幼いころ喘息の発作で何度もお世話になった急患の医療現場がよみがえりました。日本の比ではありませんものね。踏みとどまるしかないとあきらめて、日々格闘している姿に、胸がいっぱいになりました。退職後の人生を捧げている老医、シンシア先生から振りかけてもらった水を、命の水のように頭につけているおじいちゃんたち、よかったなあ。こういう現実を知りながら、手をこまぬいている自分が情けなくなります。アマルティア・セン博士が「ただ時宜にかなった適切な機会にめぐりあったときに、そのような行動をとる意欲さえあればいいのです」と言ってくれているのを救いに、とりあえず録画してもらったビデオをできるかぎり多くの人に回そうかと思っています。
| ekka | 2006/05/31 7:52 AM |

Reisemamaさん★

元気なシニア、すごく素敵だと思います。
まだまだ先だと思いますが、それまで若さと体力をがんばって維持してくださいね〜。


かぐやさん★

書く題材がすごかったから、ね。
貴重な体験をさせて頂きましたw


ekkaさん★

番組、見てくださったんですね。
放送時間がはっきりしなかったのでブログには書きませんでした。
世界に大変な所はたくさんありますが、ひとつの問題提起として、このクリニックも色々な要素を含んでいると思います。
| marisa | 2006/05/31 5:21 PM |

番組見ました!
シンシアさんはナイチンゲールでした☆

「人に与えれば自分に帰ってくる」ってイイ言葉ですね。
わたしもこの言葉、忘れないようにします。

marisaさんおつかれさまでした(^^)/
| kawata | 2006/06/02 11:42 AM |

私もシンシアさんのドキュメンタリー番組見ましたよ。
十分な薬も人手も資金もない場所で治療をするのは大変なことです。。。私の友人にもそういう仕事をしている医師と助産師がいます。確かシンシアさんは難民の子供達を自分で引き取って育てていらっしゃったと思いますが、私は自分で子供をやっとひとり産んでみて育てるだけで「なんて大変なの〜」と思っているところだったので無条件に感動しました。

実際に現場を見た人に比べれば、テレビで見ているだけの私には現実が理解できていないかもしれないけど、でも良い番組だったと思います。私もマスコミにいたけど、こういう番組は多少なりともいろいろな人々に現状を知らせるのに役立つと思うので、メディアは制作していかなくてはならないと思います。。。
| N☆ | 2006/06/02 5:26 PM |

kawaちゃん★

番組見てくれたのね ^^
心に残った内容があったようで、良かった。
秋頃また東京で集まるかもしれないので、決まったら連絡するね。

N☆さん★

子供がいるのといないのとでは色々な物の感じ方が全然違うって聞いたことがあります。N☆さんはきっとお母さんならではの感受性があるのでしょうね!

| marisa | 2006/06/03 7:50 PM |

はじめまして。
私は番組を見て、シンシア・マウンさんに興味を持ち、ネットで検索したらこちらのページにたどりつきました。
人のために利益を考えずに行動できるって、すごいの一言でした。自分を省みて・・・
また、おじゃまさせていただきます。
| うりゃりゃ | 2006/07/01 9:35 PM |

うりゃりゃさん★

コメントをありがとうございました。
番組の影響力の大きさを改めて感じました。


>人のために利益を考えずに行動できるって、すごいの一言でした。

私も感動しました。本当にまっすぐな方だと思います。


>また、おじゃまさせていただきます。

普段は平凡な日記なんですが、
よろしければ又息抜きにいらしてくださいね。
| marisa | 2006/07/02 9:24 PM |










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個体より全体の仕組み
 月齢 3.9 日   X51.ORGさんの記事で植物に感情は存在するか  「植物は例えば動物や地虫によって食べられそうになった際には  ラヴェンダーのような臭気を発して、周りの植物に捕食者が近づいているという事を知らせ、  更にそうした臭気でスズメバチを
| 宮沢賢治の風−自然が何でも教えてくれる | 2006/05/31 6:02 AM |
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